ギャンブラーの時事放談

事件事故の真相を鋭く斬りこむ現場監督のブログです

核心を突いていないマスコミの報道・・・マンション沈下事案に対する考察

旭化成建材の施工不良事案に絡み、連日マスコミが大げさな

報道を繰り返しています。

どの局もマンションが傾いたという事を大げさに伝える

だけで、ここで施工された「杭の種類」を事細かに説明する

ことをしていません。

同社のH.Pをみると、最新の型式でみても

EAZET-Ⅱ という工法の施工になります。

建築関係者で杭工事を行った経験のある方は、

以下の説明でどの程度の杭工事なのかが把握できると思います。

本体は鋼管でそれに羽根がついていて回転させながら埋設する

杭の形式です。そのまわりのソイルセメントを充てんして

杭の形状を形成します。

この羽根によってN値が5程度の地盤でも高い鉛直荷重の

支持力が出るとなっています。

ここまで書くと、上に乗る荷重分布は等分布荷重としての

構造設計であることが推測できると思います。

一方向が連続して支持層に到達していなければ、その方向に

沈下傾向が現れます。

今回の場合、報道では建物のどの方向の杭に施工不良が

あったのかを詳しく調べていません。

建物断面をみせて「この部分」というだけで、その方向と

長さを出していません。

杭の種類としては「摩擦杭」が進化した程度のものです。

PC杭やアースドリルのような大規模なものではありません。

そして昨日から、杭が支持層まで到達しているかを、

脇から調べるという無意味なことをしています。

本気で調べるのなら、現在打設してある杭の真下を調べなければ

全く意味がありません。

売り主側は全棟建て替えをほざいていますが、

まったく根拠のない無意味な売名行為です。

旭化成建材に責任があるのなら、この建物を「監理」した

設計事務所、社内検査をした元請け会社にその大半があります。

この沈下が始まって現在まで、詳しくデーターをとっていた

人はいません。

もし裁判で争うようなことがあっても、今回の施工不良と

建物沈下の因果関係をだれがどのように説明するのかが

最大の争点になります。

おそらくだれも説明できないでしょう。

データー改ざんと沈下との結び付きも然りです。

旭化成建材が被告になったら、逆に原告に対して説明を

求めてくるでしょう。

特にこの地域の地盤は堅い層と柔らかい層が入り混じっており

数メートル単位で深さが変わるそうです。

その現状がわかっていながらこの工法を選択した側にも

大きな責任があるのではないでしょうか。

建築屋とし一技術者として感じることは、マスコミはうわべだけを

報道して、事を大げさに伝えているとしか思えません。