ギャンブラーの時事放談

事件事故の真相を鋭く斬りこむ現場監督のブログです

素人丸出しのいい加減な報道・・・データー流用と傾きの因果関係は証明できない

例の「杭工事」の一件で各テレビ局がわけのわからないことを

大げさに報道して事を大きくしています。

それにともなって、旭化成建材が施工した自治体の物件で

データー流用があったと会社自身が発表しています。

が、こんなことを発表する以前にこの杭のデーター取りの

方法に着目するべきなのです。

この杭の施工では、くい打ち機と連動してデーターをとる機械が

現場で同時に稼働しています。

それがどのような弊害をもたらすのかさえ、検証しようとしていません。

他の杭工事では、ほとんどの場合このようなデーター取りは

しませんしする必要もありません。

現場でデーターをとるという事は、同時にその振動にも

影響されるという事です。

オフィイスの机の上で機械を作動させているわけではないのです。

振動による誤作動やほこりなどが直接データー測定器に影響を

及ぼすのです。そのためにデーターが正確にとれない現象が

起こりえるというのは、現場にいる人間ならだれでもわかります。

他のデーターを流用するのは、「書類」として「仕事」の

証拠を残す程度考えでしかありません。

そこには「施工」に対する自信があるからです。

そしてマスコミがわけのわからないことを平気で言って

いますが、摩擦杭の先端にセメントを流して堅い層に届かせる

などと「嘘」を報じています。

今回の杭は羽根つきの鋼管杭の摩擦杭です。

いままでの杭に比べ格段に支持力があるから設計が採用していると

考えられます。でもこれが今回の「事故」を引き起こした

要因です。この手の杭は支持地盤に到達させて建物を支える

ものではありません。下手をすると「自沈」するような層に

建物を建てる場合、予算がなくぎりぎりの線で採用される

安価な工法になります。

その中でも旭化成建材の開発した製品の性能が良いという理由だけで

現場に採用された程度です。

ここで最も注意しなければならないのは、この杭を打設した層全体の

地耐力です。自沈するほどの地盤であるなら当然不同沈下を起こしても

不思議はありません。

今回の場合この考えが当てはまります。

そしてこのようなことを考え付かないで、この工法を採用した過程で

何も反論しない施主にも大きな責任があります。

沈まない杭ではないのです、周囲の変化で沈下する可能性がある

杭なのです。

この報道の中で、横浜で打設した杭が支持層まで届いていなかった

という事を言っていましたが、それは単にデーターと何かを照合

したにすぎないことで、実際に穴を掘って肉眼で確認したものでは

ありません。何一つとして確証がないのにこのような報道をする事

自体、本質を全く分かっていないという事です。

三井が全棟建て替えを言っていますが、自社の印象を良くしようと

しているだけのパフォーマンスです。

ここもいい加減な会社ですね。裁判では勝てないでしょう。

問われるのは「設計責任」です。