ギャンブラーの時事放談

事件事故の真相を鋭く斬りこむ現場監督のブログです

笹子トンネル崩落事故・・・知識の低さが招いた人災か

今日のニュースでトンネル工学の方が以前から
 
指摘していたと仰っていましたが、私が指摘したことをズバリ言い当てていました。
 
例の吊金具固定に使用したケミカルアンカーですが、
 
どう考えてもあのような鉛直荷重が集中的にかかる
 
ところに使うものではないと思います。
 
建築などの場合、増改築で本体側と増築側で鉄筋をつなごうとした場合、
 
地中梁にケミカルを打ち込み増築側の鉄筋と緊結する場合や、
 
金属製の梯子の足元や最上部の壁の部分に打ちこんで控えとして
 
使用することが多々あります。
 
この場合極端な引き抜きの力は作用しないと考えての施工です。
 
もっとも鉄筋のつなぎの場合はコンクリート
 
おおわれて動くことがほとんどないと考えての使用になります。
 
あと施工アンカーとしてはこのほかにグリップアンカーや
 
ホールインアンカーなど用途に合わせた仕様がありますが、
 
今回の事故のように大きな応力に対応するものではありません。
 
建築工事の場合危険を考慮すると鉄筋工事のときに
 
アンカーを埋め込んだりフックを埋め込んだり
 
かんざしでアンカー役の部材が抜け落ちない施工をします。
 
トンネルの場合そのような施工が無理なので
 
ああいった工法を取ったと思いますが、
 
選択した工法が間違っていたとしか考えられません。
 
グリップアンカーとエポキシ樹脂併用で施工するか
 
一つの吊もとに対して2以上の取り付け方法を
 
併用しなければ「耐用年数」を考えた場合「安全」の根拠が全く見当たりません。
 
またハンマーでの打撃点検も何を基準にしているのかわかりません。
 
たしかに途中で断裂があれば「音」に違いが出るのは
 
わかりますが、ボルトが廻るかどうかを直接調べなければ
 
「音」の真偽すらわかりません。
 
まさに実績を残すだけのお役所仕事です。
 
あの事故は当時の設計者やそれに携わった役人の
 
技術的な低さが招いた「人災」ではないでしょうか。