ギャンブラーの時事放談

事件事故の真相を鋭く斬りこむ現場監督のブログです

笹子トンネル崩落事故・・・よくわからない吊金具の詳細

昨日発生した笹子トンネルの崩落事故、
 
犠牲者が9名という痛ましい事故になりました。
 
各テレビとも取材をしていますが、出されるトンネルの
 
絵は短辺の断面のみだけで、
 
構造を考えられる「図面」規模のものを出している局は一つもありません。
 
今回の落下原因は水平材を真ん中で吊り上げる鋼材を
 
トンネル最上部で固定していたボルトが抜け落ちたもの
 
であることが明らかになりました。
 
報道としてまず大事なことは、この吊金具の構造的な
 
「図」を出して一か所当たり何本のボルトで固定され
 
どのくらいのピッチで施工されていたかを調べなくてはなりません。
 
それには長辺方向の断面図と上から見た平面図が必要になりますが、
 
一番肝心なことをどの局もしていません。
 
完成から30数年、テレビの説明を観る限り、
 
あと施工アンカーを打ち込んでこの金物を固定していたとしています。
 
トンネルという特殊な構造体から事前にアンカーを
 
打ち込んでコンクリート打設は無理でしょうから、
 
この方法を取らざるを得ないのは、技術屋なら理解できます。
 
ここで問題になるのは「あと施工アンカー」に使用される薬液の耐用年数です。
 
アンカーカプセルとアンカーボルトをねじ込んで
 
カプセル中の薬液を混合させ接着効力を出させる
 
わけですが、問題はこの効力が何年もつかの検討を
 
「工事指針」「設計指針」で規定していたのかということです。
 
普通の工事なら施工後、トルクレンチで負荷をかけて
 
規定値に到達していれば合格になります。
 
しかし今回の場合「土木」の分野においてということは
 
もとより、トンネル上外部は土の部分で山との境目ですから
 
当然水にさらされています。
 
そのような環境で使用されているアンカーボルトが何年
 
持つのかは、基準があって当然です。
 
薬剤が固化しボルトと剥離した状態がかりに各箇所1本あったとしても、
 
構造計算上2本近い耐力で設計しているでしょうから、
 
総持ちの状態で持ちこたえていたのだと考えられます。
 
そのような状況が続いて、次第に本数が増え1本の限界を
 
超えた途端、そこから緊張状態が崩壊します。
 
あとは連鎖状態が続いて崩落になります。
 
さびや汚れでこのボルトが浮いているのか
 
そうでないのかは「目視」や「打撃」だけでは判断できません。
 
トルクを掛けてボルトを回してはじめてわかります。
 
ボルトが廻ったらおしまいです。
 
今現在この工事においての国の指針がわからない以上
 
だれの責任かは確定できません。