麻衣が出演するイベントであったので上野の
東京文化会館へ足を運びました。
オペラ歌手がマイクを通して歌うことは、自らの持つ
声量を調整して発声するという面倒くさい手順を踏むこと
になります。
そのため、「歌唱」に関しては最初からなにも期待はしませんでした。
私が危惧したのは、そういった前提に於いて
オーケストラを背負って歌うという舞台背景です。
オペラの場合、肉声を最大限に生かすためにオーケストラは
ステージより低い場所で演奏をします。
今回の場合、そういった配置ではなく歌い手の真後ろに
陣取る形でした。
普通のコンサートなら会場には必ずミキシングの機械がはいります。
それはマイク音量を殺さないためにアレンジをするためです。
昨日の場合、あの会場には常設で大きなスピーカーは存在しません。
トークをしているマイクも歌っているマイクも同じで、
会場内の常設スピーカーを通して聴こえるのみです。
またご丁寧なことに、オーケストラのところにはそれぞれに
集音マイクまで設置されていました。
こんなもの必要ありません。
ただでさえ声量を押さえた声でしか歌えないのに
わざわざオーケストラの音量を拡大させたら「歌唱」が
飲み込まれてしまうことくらいわかりそうなものです。
案の定、静かな演奏のときにははっきりとした歌声も、
オーケストラの演奏が大きくなると歌声が聴きとれなくなり
声を探すのに苦労する始末です。
あんな聴きづらいコンサ-トは初めてです。
この企画そのものも何の意味もありません。
わざわざクラシックを付けているのは彼女たちが
歌うからにすぎません。
岡 幸二郎 さん自体ミュージカの世界の人ですが
ミュジーカルの舞台で歌ってこそ映える曲をああいった
ステージでピックアップして歌っても普通の歌をうたっている
程度にしか聞こえません。
こういうのを「企画倒れ」といいます。
このコンサートで一つだけ救われたのは
メゾの横関さんの天然ボケだけです。
一人お笑いオンステージで観客を笑わせていました。
彼女の音域だと昨日の選曲が非常に生かされていると感じました。
だた総合的に昨日のステージをみるとお金を払ってまで聴く価値は
ないと思いました。
3人ともよく歌っていましたが、特段変わった歌い方でもなく
普通にマイクを通して歌っているだけにしか聞こえませんでした。
これはすべて舞台装置と構成の失敗に起因するものです。
かなり前に記事で書きましたが、
「オペラ歌手がミュージカルの名曲を歌う」とわざわざ
見出しをつけるイベントがあります。
これもまったく意味のないことです。
オペラとミュージカル、似てるようで全くの別物です。